寿命はお金で買う時代❣️

幹細胞は抗炎症細胞と言われており、炎症を抑える機能を持っています。


例えば関節などが変形したり、関節炎になっている場合、その中で炎症が起き、その炎症が痛みを引き起こします。その炎症に幹細胞が入っていくと、炎症自体を抑えてくれるため、症状が楽になります。このケースでは、1ヶ月ほどで効果が出たという患者様もいらっしゃいます。

身体の代謝サイクルと治療効果


人の身体は基本的に、3ヶ月サイクルで代謝をします。軽い擦り傷でも顕微鏡でしっかり確認すると、完全に元通りに戻るためには約3ヶ月を要します。


そのため、戻した細胞が組織を作り定着するには短くとも3ヶ月はかかります。実際には3ヶ月から半年かけて症状が変わる方や、半年過ぎて1年のところで症状が変わる方などがいらっしゃいます。

幹細胞を用いた治療は、脳や心臓、歯周病や糖尿病など研究段階のものもまだ多く、血液疾患や免疫不全、骨髄機能の低下などのように有効な治療方法として確立されているものは少ないです。

身近な分野では、変形性膝関節症や半月板損傷など整形外科の膝治療に幹細胞治療が用いられています。また、慢性疼痛や自閉症の新しい治療方法としても注目を浴びています。


美容の分野では、老化によって減少した幹細胞を注入して増やし、肌組織全体の若返りに期待が持たれています。


肌荒れやニキビ、毛穴の開き・汚れ、クレ―ター、はり・ツヤ不足、ほうれい線、クマ、目元・口元のしわ、フェイスラインのゆるみ、頬のたるみ、二重あごなど、年齢を重ねるにつれて気になってくる症状をトータルケアします。

頬のたるみやほうれい線も、たるみを引き起こしている基底膜や表情筋に幹細胞を注入することで、老化によって減ってしまった若い肌細胞の数を増やして症状を改善できます。

安全性が高く万能に思える幹細胞治療でも、多少なりとも副作用やリスクは生じます。

一般的に新しい治療方法は症例数が少なく、安全性と副作用の点でまだ不明なため認可されていないことがあります。幹細胞治療についても、まだ厚生労働省から認可されていないものについてはリスクや副作用について安全性の確証が得られていないこともあり、信頼できる医療機関で受けたほうがよいでしょう。

幹細胞治療を安心して受けるには、クリニックの知識量や技術力はとても重要です。治療に用いる幹細胞を質の良い状態で均一に大量生産することや、品質をキープするための管理はとても難しいのです。

症状によってどの幹細胞が適しているのか、どのような方法で体内に取り入れると効果的なのかなど、まだ十分な治療方法が確立できていないこともあり、医師の技量によって得られる効果が異なります。

効果や副作用、リスクのあらわれ方には個人差もありますが、幹細胞の質や管理の仕方、治療方法によっても違いがでるはずです。幹細胞治療でちゃんとした効果を実感したいなら、厚生労働省に認可されている医療機関で受けるのが望ましいでしょう。

幹細胞の働き | 寿命を迎えた細胞の代わりを作り出す

ひとつの細胞から始まるヒトの生命。

幹細胞は、あらゆる細胞のもと。そう聞いても、そのすごさにピンとこないかもしれません。
確かに少し難しい話です。幹細胞について理解を深めてもらうために、まずは、私たちの身体の中で細胞がどのように働いているのかをご説明しましょう。

私たちヒトは、たったひとつの受精卵という細胞がもとになっています。このひとつの細胞がふたつに分かれ、ふたつが4つになり……、と分裂を続けてどんどん増え、それが皮膚や骨格、内臓などに変化して次第に身体が作られて、この世に生まれます。
個体としての誕生は出産のときですが、受精卵ができたときから生命は始まっています。そして今ある私たちは、60兆個もの細胞の塊だと言えるのです。

それぞれの細胞には役割があり約270種類に分けられると考えられています。例えば、皮膚の一番外側にある細胞には、外からの異物の侵入を防いだり、内側の水分の蒸散を防ぐ役割が。
筋肉や骨の細胞は、周りの組織と協力しながら、身体を動かす・支える仕組みを作る役割があり、神経の細胞は、痛みなどの感覚を脳に伝え、脳からの信号を必要な箇所に伝える役割があります。
血液中にある赤血球や白血球も細胞です。赤血球は身体中に酸素を運ぶ役割があり、白血球には、侵入してきた菌やウイルスと戦う役割があります。細胞の役割は実にさまざま。

ここでは簡単な説明になってしまいましたが、身体中の細胞がどのように機能しているかを知ると、自分の身体のことながら、実によくできた精密機械のようだと驚かされるはずです。
呼吸をするのも、ものを食べるのも、運動をするのも、ものを考えるのも。私たちのすべての活動は、細胞の働きによって支えられているのです。

細胞の主な働き

連携して修復する働く細胞たち。

ただ、こうした精密な働きをする細胞も、先にお伝えしたように寿命があり、その細胞ごとのサイクルで生まれ変わっています。
アクシデントによって、寿命より早く死を迎えることもあります。

ケガや炎症、病気などが細胞の寿命を短くするアクシデント。それが起こったとき実に多くの細胞が働くことを、ケガを例にご説明しましょう。

まずケガをすると皮膚の一番外側の細胞が傷つき、菌などの異物の侵入を防げなくなります。
それに加えて赤血球などの細胞を含む血液が流出します。それは身体にとっての一大事。
その状態を一刻も早く収めるために、血小板という細胞が、破れた血管を修復します。
いくつかの過程を経て血液と皮膚のバリア機能を守ることができると、次に白血球が傷口へ向かいます。
そこから入り込んだ菌と戦って一大事を収めるのです。

そして今度は皮膚組織の出番。再生する細胞が傷口に集まって、元々の皮膚の状態へと戻すために働きます。
炎症や病気も同じく、そこで起こっているトラブルを収めるために多くの細胞が働き、寿命を迎えます。

「トラブルが起こると多くの細胞が失われますから、そこで大切な幹細胞を使わなくてはならなくなってしまうのです。幹細胞は、寿命を迎えた働く細胞の代わりを作り出すために身を削っているのです」

私たちの身体を作る数々の大切な細胞。そのもとになる幹細胞は、いわばあらゆる細胞の上に立つリーダーのような存在だと言えます。次ページからは、幹細胞についてもう少し詳しくお伝えしていきます。

幹細胞ができること | 再生医療にも活躍

別の細胞にもなれる幹細胞の能力。

幹細胞にも、実はさまざまな種類があります。

「幹細胞の一般的な定義は、自分自身と同じものを作り出す能力を持っていること(自己複製能)。
そして、自分とは違う細胞になる能力を持っていること(多分化能)。
このふたつの能力を持つ細胞を幹細胞といいます。生命の始まりである受精卵も幹細胞。
ノーベル賞受賞で有名になったiPS細胞も、それ以前に開発されたES細胞も幹細胞です」

ヒトの身体を会社に例えて、幹細胞の能力をご説明しましょう。
自分の身体を会社だと考えてください。創業者は受精卵です。受精卵は会社(身体)を大きくするために従業員(細胞)を増やしていき、彼らは皮膚、骨や筋肉、血液、肝臓などそれぞれの持ち場で、仕事を得ます。
一度決まった仕事は変えることはできず、任期満了(寿命)まで同じ仕事を続けます。
彼らが働く各グループのリーダーが幹細胞。持ち場で働く細胞とは大きく違い、自分の分身を作ること(自己複製能)、退職したり、トラブルによっていなくなったりした現場の従業員の代わりを作ること(多分化能)ができます(下の図を参照)。
リーダーは部下が会社からいなくなったときに備えて、自分の分身を増やしておき、いざというときに、代わりの部下を作るのです。
ただ、それができる回数は限られているため、トラブルによって退職者が多くなると、リーダー自身も、それだけ早く死を迎えることになるのです。

幹細胞を使った再生医療への希望も。

今、私たちの身体にある幹細胞は、“体性幹細胞”というもの。大切に使いたいというのは、この体性幹細胞のことです。

「生まれ持ってきたものがなくなると私たちは死を迎えます。ですが、逆に体性幹細胞がなくならなければ、細胞を作り続けることができ、理論上、永遠に死なないことになります。
体性幹細胞がなくなることは避けられないのが現実ですが、今、体性幹細胞から作った細胞や臓器の一部を使った医療は行われ始めています。それが再生医療と呼ばれるものです」

ES細胞やiPS細胞が注目された理由は、失われた組織や臓器を再生できる可能性が期待されているからです。
例えば肝臓が機能しなくなったとき、今は移植しか方法がありませんが、それらの幹細胞から肝臓を新たに作れるのではないかと考えられているのです。
また、iPS細胞から作った目の角膜の細胞を移植する治療は、早ければ今年、臨床試験が始まるとも言われています。

ES細胞、iPS細胞を使った医療を受けられるまでには、まだ時間がかかりそうですが、体性幹細胞を使った再生医療は、すでに実用化され始めています。

「いつか体性幹細胞から作った働く細胞を、いつでも投与できるようになるかもしれません。
そうなれば、身体にある体性幹細胞の消費を抑えることができますから、理論的には、寿命をいくらでも延ばすことが可能になるかもしれません」

将来的には、治療が困難とされた病気も再生医療によって治せる可能性があります。
が、現状はとても高額なこともあり、すべての人が受けられるものとは言えません。
今私たちができることは、自分が持っている大切な体性幹細胞を減らさないことなのです。